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MIKI IIDA
UNE INTERVIEW EXCLUSIVE réalisée par daNIel le 27.07.2016 à TAMA PLAZA près de TOKYO. Traduction japonaise réalisée par Miki IIDA.

MIKI IIDA

ダニエル「きこえる?」のインタヴューの目的はパリと東京で、普通の人とは異なる人生を歩んでいる人たちに出会うこと。自分らしい人生を歩むため、自分自身に沢山の問いを投げかけている人たち。我々が関心をもっているのは「私はこれから人生で何をしていくのか?」という問いなんです。美樹さんは東京で活動してるようですが、東京生まれですか?

美樹私は生まれも育ちも神奈川県で、両親は関西出身です。

ダニエル:今日のインタヴューをしようというアイデアが生まれるには時間がかかりました。自分の中でその気持ちが熟していくのにちょっと時が必要だったんです。インタビューしようと決めたのは、先日一緒に食事をしていた際、おじいさんの話を聞いたのがきっかけです。現在「きこえる?」で興味をもっているのは、ある人とその家族の歴史のつながりです。僕は時折、その人が、昔に始まった家族の歴史に続きを与えるためにそこに存在しているのではないかと思うことがあるんです。それが本当かどうかはわからないけれど、それが自分が抱いている感覚なんです。まず聞きたいのは、今の日常生活の中で、閉じ込められているように感じることはありますか?

美樹:今はあまりありません。東京で働き始めた頃は身動きが取れないと思っていたこともありましたが、今は以前よりずっと自由もあるし、フランスにも行かせてもらっています。とはいえ、完全に自由というほどでもないですが。

MIKI IN PARIS

ダニエル:でも完全に自由な状態なんてあるんでしょうか。あなたは様々な活動をしているようですね。

美樹:今は語学学校で週3日働いて、残りの2日は取材をしたり、書いたり、研究したり、人と会ったりなど、様々なことをしています。

ダニエル:あなたと仲のよい友達はあなたの人生の選択をどんな風に思っているんでしょうか。彼らはあなたと似たような生活を送っていますか?

美樹:そうでもありません。男友達はほとんどフルタイムで週5日、わりと遅くまで働いているようです。女友達は会社勤めをしているか、子供が生まれて主婦になったり、働く母になったりです。

ダニエル:あなたの友達で異なる人生を歩んでいる人が、あなたの人生と交換したいなぁと言うことは?

美樹:人によるかもしれませんが、だいたい皆特に自分の生活に大きな不満を抱いてはいないように思います。私の方がもっと自由な時間が欲しい!と言っているくらい。最近は特に今の仕事を変えたいという声を聞くこともありません。皆自分たちの仕事にそれなりに満足しているのではないかと思います。

ダニエル:本当にそうでしょうか?

美樹:そんな風に友人たちは話していますが。

ダニエル:それは言葉通りに受け取っていいものなんですか?

美樹:いいと思いますよ。友人同士では思っていることを言えるはずですから。それに本当に転職したいと言っていた人で、独身の人はわりと転職を実現させています。

ダニエル:独身だったら?何故ですか?結婚するともっと事情が複雑になるということ?

美樹:そうです。特に結婚して子供が生まれた女性の場合は本当に難しいんです。

MIKI IIDA

ダニエル:子供の頃の話をしましょう。今日の人生に影響を及ぼしていると思える子供の頃の記憶や出来事はありますか?

美樹:子供の頃の記憶はあまり多くありません。でも毎年両親が家で盛大な新年会を開催していたのは覚えています。父の会社の部下の若い人たちが沢山家に集まって、彼らに構ってもらえるのが私の大きな喜びでした。彼らは皆とても優しく遊んでくれたのです。おそらくこうした経験が私にピクニックやカフェでの集まりなど、食やお茶を囲んだ人々との出会いの場づくりに興味をもたせたきっかけだと思います。

ダニエル:つまりあなたにとって、理想の暮らしとは、様々なバックグラウンドの人たちと食を囲んで出会うということ。

美樹:そうですね。食卓を囲んだ出会いだけでなく、リラックスして話ができるカフェでの出会いも重要です。私は芸術家たちの出会いと議論の場であったパリのカフェの歴史についても研究し、本も書きました。こうした関心の源は子供時代にあるのだと思います。新年会は私にとって本当に楽しいものでした。それから、お正月に大阪の祖父母の家に行くと、いつも文化的な空気が漂っていました。

私の叔父や叔母もちょっと変わっていました。例えば叔父がテレビのオーケストラの演奏画面の前で指揮棒を振るそぶりをしていたのを覚えています。私にとっては叔父の職業が何か以前に親戚であり、何だか変なことをやってるな・・・と(笑)大学院に入ってから、実は彼が関西のオーケストラの若手演奏者たちを支援しており、著名な存在であったと知りました。当時の私は小学生で、集まった親戚たちが紅茶やお菓子を囲んで議論している横に座っているのが好きだったのです。

ダニエル:子供の頭に組み込まれた最初のイメージが時とともにどのように変化していくかを見るのは興味深いですね。あなたのおばあさんも革命的な考えを持っていた人だと話していたのを覚えています。

美樹:私は家族の歴史についてはよく知らないのですが、祖母の人生は本に書かれており、その本によると飯田家の伝統というのは祖父母が形作ったようです。

ダニエル:伝統というと?

美樹:つまり、ちょっと普通と違った生き方といいますか。例えば祖父はマクロビオティックをかなり早くから実践しており、祖母は知的な活動に多く参加していました。戦前から、既に女性の権利のために活動していたのです。それで祖母のまわりにはたくさんのファンがいたようで、亡くなる数年前に女性達が集まって、彼女の人生についての聞き書きをした『おもしろかってんよ』という本を出版したのです。私が祖母を知ったのはどちらかというとその本を通してです。

ダニエル:今日ではあなたは小学生の男の子の母親ですが、彼が大きくなった時、あなたのことをどんな風に言ってくれたらなと思いますか?

美樹:難しい質問ですね。私の祖父母は素晴らしい贈り物をしてくれたと思っています。彼らは私に本物を直に見ることを教えてくれたのです。私たちは毎年夏に親戚合わせて17人で国内の素敵なホテルに泊まっていました。毎年ホテルは違う場所になるんです。私たちは子供だったので騒々しく、それに17人の団体だから目立ちますよね。でも皆で一緒になって様々な場所に行き、美味しいものを食べさせてもらいました。だから私も自分の息子に本物を見せようと思って彼が7歳の時フランスに連れて行ったのです。

MIKI IIDA AND SON

ダニエル:本物というと?

美樹:例えば日本には一度もそのオリジナルを見たことがないのに、その絵についての知識が豊富という類の人たちがいます。日本人はテレビや雑誌、本などを通して知識を得るのが好きですが、それで知った気持ちになって、本物をわざわざ見にいかずに知ったように語る人もいます。それは本物を直に見ることに重きを置いていないからだと思います。本物を見ても知識の確認にすぎないから別に行く必要はない、という。けれども私は自分の息子には本物の作品の力強さを体感してほしいと思っています。料理にしても絵画にしても、いいものがわかる人とピンとこない人がいて、大人になるにつれてその隔たりの大きさを実感するようになってきました。その違いがどこから生まれるかといえば、お金持ちの家に生まれたかや有名私立に通っていたかではなく、子供の頃に何を見て、何を「そういうものだ」と思ってきたかによると思うのです。だから多少の無理をしてでも、子供のうちに本物に触れさせておくことが、大人になってからボディブローのようにじんわりと効いてくると思うのです。

ダニエル:つまりあなたにとって、そういう機会を作るべきなのは親であるというとですね。たとえ裕福でなくても、機会をつくることはできると。

美樹:はい、機会は作れると思います。でも両親の考え方によるのです。回転寿しがいいと思うか、お寿司はカウンターで職人さんに握ってもらうものだと思うか。回転寿しも安く見えて意外とお金を使いますが、職人さんがカウンターで握る寿司だって2人で2500円もしない店も探せばあるのです。フランスの場合は特に、貧しい家庭であってもアートに触れる機会が豊富で羨ましいと思います。フランスでは公共政策として、低所得者にあえて文化的なものに触れさせる機会を豊富につくっていますよね。日本ではそんな機会はほとんどありません。大人になってフランスに旅行し、ルーブルやオルセー美術館などで子供達が引率されて見学している姿を目にして衝撃的だったという日本人も多いのです。子供の頃からそれらに普通に触れているのと、大人になって初めて触れるのとでは、その差は歴然としていると思いますし、実際私もいつまでたっても彼らに追いつけないと思っています。日本ではそうした機会が少しずつ増えてきたとはいえ、まだまだ例外的な存在です。私は自分の子供にはピカソやモネの絵の持つ力強さをわかってほしいと思うのです。

ダニエル:オリジナルには複製品にはないエネルギーがあると思いますか?

美樹:はい。特にいい作品の場合、それを感じることができると思います。そこには打たれるような感動やゆらぎがあるのです。料理やチーズ、ワインについても同様のことがいえると思います。でも日本には似て非なるものが多いのです。その違いというのは、作り手や売る側が「〜はどういうものだ」と思って作っているかにかかっていると思います。今ではどこのスーパーでもワインだらけとはいえ、本当に美味しいワインに日本で出会うのは至難の技です。

ダニエル:ワイン・エキスパートの資格も取得されたんですよね。

美樹:はい。フランスに行く度に、料理やワイン、アートについて本当に多くの発見があり、心からすごいなと感じることが多々あります。

MIKI IIDA

ダニエル:これまで料理やアートなどについて話を聞いてきましたが、あなたは2つの異なる世界の間で生きる人でもありますね。あなたは日本の伝統的な世界の中でも自分を見出だそうとしているように見えます。茶道を習っているそうですが、そこにも本物を見出したいという同じ想いがあるのでしょうか?

美樹:そうですねえ。昨晩何故茶道を学んでいるのか自問自答していましたが答えは見つかりませんでした。高校時代、日本の伝統文化に興味があったんです。おそらくそれが無くなりつつあったからだと思います。当時横浜の学校に行っていたのですが、月に一度は日本の雰囲気を感じに浅草まで足を伸ばしていました。浅草や下町で出会う職人さんからお話を聞くのが好きだったんです。それと、フランスが大好きでフランス人になりたかったものの、自分はなれないという哀しい答えに気づいたからかもしれません。私は学生時代、憧れのパリに1年間留学しました。その時私の周りにはヨーロッパの将来を担っていく学生たちがいたのですが、彼らは目を輝かせて、将来はEUで働きたいと言っていました。それを聞く一方で、私はどうあがいてもEUでは働けないという事実に気が付きました。彼らのように国際社会で雇われるには、日本人であり、日本という点を生かしていくしかないのだと。それにフランス語を必死で勉強して、ヨーロッパのニュースについていこうとどんなに努力をしてみても、結局それが母国語であり、小さな頃から慣れ親しんできた彼らの情報収集力にはかなわず、同じレベルに到達することは私にはできません。私は100%日本人で、帰国子女ですらないので、世界で何かをしていきたいなら日本という面を活かした上で戦うしかないと痛感しているのです。

MIKI IIDA AND TEA MISTRESS

ダニエル:でもどうして伝統文化なんですか?伝統というと昔の日本のことですよね?

美樹:私は高校生の時、すでに廃れていた手ぬぐいの魅力を発見して使い、まわりの人たちに広めようとしていました。手ぬぐいだけでなく、雪駄や下駄など、忘れ去られた日本のものをあえて使っていました。浮世絵も好きで、よく職人さんのお話を聞きにいっていました。「これができる最後の世代が私で、自分が死んだらもうこの技も継承されないだろう」というお話を聞くたびに胸が痛み、少しでも使えたらいいなと思って当時の自分には高かった職人もののの団扇を買ってみたりしてました。

そして日本文化に関する本を読んでいくうちに、日本文化を知ろうとしたら茶道は避けて通れない、茶道を知らずして日本文化は語れないと感じるようになったのです。茶道は総合芸術であり、日本の文化を様々な観点から知り、感じることができるようになっています。例えば茶室で日本の建築を知り、正式なお茶会では懐石料理をいただきます。茶室のまわりには露地という小さな庭があり、茶室を優しく包み込んでいます。それに身のこなし方も大切で、身体や手をいかに動かすかという作法も学びます。着物を着ることで、着物の着方についても学んでいけます。また茶室には招待客やその日の意向によって選ばれた掛け軸が飾られており、書の芸術にも触れることができるのです。茶の湯が日本文化を凝縮しているというのはそうした様々な点を内包しているからではないでしょうか。

ダニエル:それはとても興味深いですね。

美樹:だから私はかなり長いこと、この茶道という近づきがたい世界に興味があったのです。

ダニエル:茶道を練習することは、日本人としての自分を受け入れることを手助けしてくれるといえるでしょうか?

美樹:そうですね。生粋の日本人になれますよ(笑)

ダニエル:茶道は日本文化の伝統的な教授法である口伝という形をとっていますよね?

美樹:はい。だからこそ私のお茶の先生は、お稽古こそがこの記憶を伝える重要な方法といっているのだと思います。

MIKI IIDA AND SON

ダニエル:これから「きこえる?」のテーマについて話したいと思います。自分の中の子供について考えたことがありますか?自分たちの中に、自分に向かって話しかけてくる何者かがいると思いますか?

美樹:よくはわかりませんが、例えば人生でうまくいかないことがあると、どこからか「こんなんじゃダメだ、人生を変えるべきだ!」という声が聞こえるような気がします。これが自分の中の子供なのかどうかはわかりませんが。

ダニエル:自分の中の子供・・・多くの人はそんなことを考えもしていないでしょうが、ある人にとっては自分に話しかける潜在意識であり、他の人にとっては自分の中にある神様なのかもしれません。正確にどうとは言えませんが、自分の中に残ったままの子供時代の自分の一部が、今日の自分と会話をしつづけているような・・・

美樹:個人的にはそういうのは全然考えたこともありません。でも心理学の世界では、10歳までにかなり具体的な人生観が形成され、大人になってからもそれとは知らずにその道をたどってしまうというのをきいたことがあります。とはいえ、大人になると、私たちの現実の人生は子供の頃の自分の思いとは随分離れたものになってしまっているのではないでしょうか。日本では「インナーチャイルド」という言葉があり、インナーチャイルドがもっとその自分にあった人生を要求すると聞いたことがあります。私のようにインナーチャイルドとうまくいっていない人は、子供らしさを十分もたずに大きくなってしまったのかもしれません。

私たちの内部ではもっと人は活き活きしてして、心配もない状態でいたいのでしょうが、昔からいい子にして、真面目にやってきているとそんなのなかなか難しいですよね。私の場合はくそ真面目な印象と裏腹に、内部にはもっと奔放で自由にやりたい自分がいて、そこが難しいわけです。きっと私は他の日本人に比べたらわりと自由に生きているように見られているのでしょうが、私の中ではいつも葛藤があります。よく友人からも「真面目だね」と言われますが、正直私は自分のそんなところが全然好きではないのです。私の息子は全然真面目ではなく奔放で羨ましいなと思っています。私はけっこう早いうちにそんな子供らしさを失ってしまったのだと思います。

ダニエル:ではあなたは息子さんが自発的で子供らしい精神を守っていくためなら何でもしてやろうという気持ちなのですか?

美樹:そうでもありません。日本社会でうまくやっていくためには真面目なことも大事なのでは?なかなかどうしていいのかわかりません。

ダニエル:もっと自分の中の子供を信頼してみたらいいのでは?

美樹:確かにそうですね。そうしてみようかと思います。

MIKI IN PARIS

ダニエル:最後に私にとって重要な質問です。私たちの人生において、自分たちの祖父母が彼らの人生でできなかったことを私たちは実現したり、実現しようとしているのだと思いますか?フランスでは、誰かが才能ある時または独特な生き方をするとき、それを伝えたのは両親ではなく、祖父母なのだと、つまり隔世遺伝なのだと言うのですが、日本にもそういった言い方はありますか?

美樹:あまりそれを考えたことはありませんでしたが、あなたがこの隔世遺伝という言葉を使った時とても驚いたのを覚えています。というのもそれはまさに祖母のお葬式のときに叔父が私に言った言葉だからです。私は祖母と離れて育ちましたし、本を通してしか詳しい人生を知りません。でも彼女の孫たちのうち、性格や生き方が一番似ているのは私だとその時叔父に言われたのです。彼女のように私もたくさんの活動をやってきました。祖母は女性の権利のために戦って、私は環境活動を熱心にやっていました。小さい頃はそれは祖母の領域だ、という意識もあって女性の権利やフェミズムなんて全く興味がなかったんですが、特に子供を産んでからは日本の女性の生き方や、女性に勇気を与えていくことにとても興味を持っています。昔は実際に動いて活動をしていましたが、子供を産んでから行動をするのが難しくなりました。それでも書くことはできるので、今は書くことが私の活動だと思っています。子育てに困ったり、結婚してこれまでとは違う生き方をするようになって辛い気持ちを抱えた女性が、私のブログを読んで勇気付けられたとか、頑張ろうと思ったとか、涙が出たとか様々な気持ちを伝えてくれます。そういうのが本当に嬉しく、私ももっと書いていこうという励みになっています。私にとって書くことはカフェ・ド・フロールに通ったボーヴォワールがしていたように行動の1つであり、いつか私もボーヴォワールのような人になれたらと思っています。

MIKI IIDA

NIHONGO
VERSION FRANCAISE francais